解雇に立ち向かう方法

 

1 まずは事実関係を明確に確認しましょう。

 

会社を辞めることになった場合に、今後の対応を考えるにあたっては、まずは事実関係を確認するところからはじめる必要があります。


会社を辞めるのが、退職なのか、解雇なのか。

退職の場合は、合意退職なのか辞職なのか、

解雇の場合は、普通解雇・整理解雇なのか懲戒解雇なのか。


解雇の場合には、その理由を確認するため、会社に証明書(解雇通知書)の交付を求めましょう。


会社(使用者)は、従業員(労働者)の求めがあったときには、解雇理由を記載した証明書を交付しなければならず(労働基準法22条)、就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係等を記載しなければなりません(99.1.29基発45号)。


 

また、事実関係を裏付ける証拠についても、できるだけ早期に確保しておくことが必要です。

 

これは単なる事実確認という意味でも、後々の裁判になった場合の証拠という意味でも重要です。



例えば、通知書などの文書類の他、口頭でのやりとりの録音、メール等のデータ、第三者の証言が得られる場合にはその協力者の確保、その他にも証拠になりそうなものを確保しておいてください。

 

そして、解雇等に納得できず、辞めるつもりがないのであれば、その旨と就労の意思があることを明らかにして一貫した態度をとるべきです。


何らの異議も言わずに、会社に言われるがままにしていては、後で会社から納得のうえで合意退職されたものであったなどと言われかねません。

 

 

 

2 内容証明郵便等の通知書の送付と任意交渉

 


以上のようにして事実関係を確認したうえで、会社の行為に違法性が認められる場合には、その行為をやめさせ、違法行為の撤回や復職などを求めて交渉を行うことになります。

 

もう会社へ復職することを考えていない場合には、金銭的な解決を得て、新たな気持ちで生活を開始できるように、交渉をすすめていくことも一つの選択肢かもしれません。


 

このような任意の話合いについては、当事者本人同士で行うことも可能ですが、

これまでの経緯から会社側と直接話し合うことは難しく、もしくは不利な内容で話合いがすすむ危険性があるという場合には、弁護士にご相談ください。

 

この場合、労働基準監督署へかけこむという方法もありますが、労基署が動いてくれるとは限らず、労基署の呼出しに会社が応じないということも少なくなく、あまり有効でない場合があります。

 


弁護士へ依頼すれば、皆さんの利益を代弁する代理人として、弁護士がすべての交渉を行うことが可能です。

 

また、仮に会社との任意の話合いがまとまらない場合であっても、その後の労働審判や訴訟を見越した対応をしていきますので、普段慣れていない方が行う場合よりも適切な対応をとっていくことが可能となるでしょう。

 

 

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3 労働審判

 

会社が、当事者間の任意の話合いに応じ、皆さんの請求どおり、又は請求に近い条件で合意による円満な解決ができればよいのですが、なかには当事者間同士だけの話合いには応じようとしない会社もあります。

 

しかし、裁判所の公的な手続きを利用すれば、話し合いに応じるという会社も多くあります。


そのような場合には、労働審判を申し立てるという方法が有効なときがあります。

 


労働審判は、原則3回以内の期日で裁判所の審判が出されることになっており、訴訟に比べて早期の解決が期待できます。また、審判結果が守られない場合には強制執行を行える可能性もありますから、実効性もあります。

 


弊所の弁護士が代理人を務めた事件のなかにも、労働審判によって早期の解決が実現できたものは多く、3回の期日を重ねるまでもなく、1~2回の期日の間に示談の合意ができるというものもよくあります。

 

ただし、労働審判は終局的に公的判断が示される判決とは異なりますので、労働審判の内容に対して異議が出た場合は、通常の訴訟に移行することになります。

 

 

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4 地位保全・賃金仮払仮処分

 

会社の態度が強硬で、任意の話合いによる解決が難しく、当面の生活のため、ひとまず賃金を仮に支払ってほしいといった場合には、裁判所に対して仮処分を申し立てる方法があります。

 

この場合は、労働契約上地位を仮に定める地位保全仮処分」と、裁判で判決がでるまで賃金の仮払いを求める賃金仮払い仮処分」を申し立てます。

 


解雇が無効である可能性が高い場合に、仮処分の必要性があると裁判所が認めるときには、訴訟に比べて比較的早期に決定がでますので、当面の生活を確保するうえでは有効な手続です。



しかし、仮の決定にすぎませんので、裁判所による終局的な判断を獲得したい場合には、やはり訴訟を提起しなければなりません。

 

 

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5 訴訟を提起する

 

会社の態度が強硬で、任意の話し合いや労働審判にも応じる見込みがない場合、あるいは納得できる結果を得られなかった場合には、訴訟の提起を考えましょう。

 

権利関係を徹底的に争い、判決によって終局的な判断を得たいという場合は、訴訟の提起しかありません。


 

解雇無効を理由とする労働契約上の地位の確認請求、未払い賃金等の請求を法的に主張・立証し、判決による解決を目指します。


復職を求めない場合や、他の会社に就職ができた場合などは、違法行為を理由に慰謝料など損害賠償を請求するという場合もあります。

 

判決が確定すれば、公的な最終的判断となり、もはや争うことはできなくなります。


判決を獲得するためには、長期間の時間と労力を要することを覚悟しなければならないのは確かですが、訴訟の経過によっては、途中で和解が成立して、スピーディに解決するということもありますから、それほど悲観的になる必要もありません。

 


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