会社の倒産(破産)と未払い賃金

不景気の影響で、勤務先の会社がついに破産してしまいました。

会社の経営が苦しいらしいとは聞いており、先月の給料がまだ支払われていなかったのですが、まさか本当に破産してしまうとは思ってもいませんでした。

 

私たちの雇用や、未払賃金はどうなるのでしょうか。

 

 

 

破産申立てに伴い、通常は解雇も同時にされることが多いでしょうが、そのような解雇については通常有効と考えられています。

 

未払い賃金については、法律上は、一定限度で、他の会社債権者よりも優先的な保護を受けられることになっています。


 

 

 

会社の破産で従業員の地位はどうなるか。

 

破産申立てがされたからといって、法律上は、当然に従業員の地位がなくなるわけではありません。

 

破産手続中の清算業務に必要な従業員については、破産申立て後も継続して雇用が継続される場合もあります。

 

しかし、多くの従業員については、破産申立てと同時に、又は破産管財人によって解雇されることが多いです。この解雇は、法律上は民法631条を根拠としており、急な解雇によって損害を受けたとしても、文句は言えないことになってしまいます。

 

ただし、この場合にも、法律上、30日の解雇予告期間・解雇予告手当の支払いを受けられるなど、最低限の保護は受けられます(労働基準法20条)。

 

なお、破産申立て前に解雇が行われることもありますが、その場合も、濫用的に破産したような不合理な場合を除いて、一般的にやむを得ない解雇として有効と考えられています。

 

 

 

会社が破産すると、給料債権は、法律上どうなるか。

 

会社が破産の申立てをしても、従業員の給料債権がなくなるわけではありません。従業員の給料などの労働債権は、法律上優先的な保護を受けられます。

 

少なくとも、破産開始3か月前からの未払賃金については、財団債権(ざいだんさいけん)といって、破産手続でも、会社に残っている財産から支払ってもらう優先権が認められています。

 

退職金債権についても、破産手続開始前3か月分の給料を上限に、退職前3か月分の給料が財団債権として優先的な保護を受けられます。

 

ただし、理屈上は優先的に保護されるといっても、会社に残された財産によっては、すべての従業員に未払給料全額の支払が現実にはできない状況の場合もあります。そのような場合には、未払額に応じて、未払給料の一部しか現実に支払いを受けられない可能性もあります。

 

 

 

未払賃金立替払制度

 

ちなみに、賃金が支払われないまま既に退職してしまった方は、「未払賃金立替払制度」を利用すれば、未払賃金の一部の立替払を受けられることがあります。

 

立替払いの請求が認められるためには、破産開始決定がされた日から2年以内に請求しなければならないこと、退職した元勤務先の破産会社が1年以上事業活動をしていたこと、といった細かい決まりがありますので、注意が必要です。

 

 


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